1000円カットのすすめ
「ドリルを買った人が欲しかったのはドリルではなく1/4インチの穴である」
T・レビット博士という人が1968年に出版した著書「マーケティング発想法」の冒頭に書いたマーケティングの最も有名な格言の一つです。
その会社が客に提供しているものは何なんのか突き詰めて考えなさいみたいな話ですよね。
ご年配向けの化粧品を販売している会社が本当に提供しているものは、化粧品ではなく、シミやシワのないきれいな肌でもなく、年齢を重ねてもイキイキと過ごす前向きな気持ちなのかもです。
では、1000円カットが提供しているものは何なのか?
今年の4月に家を買って引っ越したのですが、それまで行っていた美容院が遠くなったため、1000円カットに行ってみました。家計が一層苦しくなり、髪と一緒に我が家の経費もカットする必要がありましたので。というより今考えるとよくわからないのですが、嫁からの猛烈なリコメンドがありました。入るのが恥ずかしくなさそうな目立たないお店も丁寧に教えてくれました。
それまで非常に抵抗があったので、かなりドキドキしながら勇気を振り絞っていきました。同じ駅に会社の後輩が住んでいるのですが、絶対に見られたくなかったので、彼がまだ出張中でこの街にはいないと明らかに分かっている土曜日の午前中に行きましたから。
数分後・・・
入店前のドキドキは、全く違うタイプのドキドキに変わっていました。
シャンプーがない代わりにカットした髪の毛を掃除機みたいなヤツでウィーンと吸い終わり、持参した整髪料でセットしている時には、リピーターになることを完全に確信していたのです。
まず、僕レベルの髪型ではクオリティに全く違いがなかったんですよね。と同時にunoのスーパーハードジェルの力を再確認しました。今では、男の髪型なんてほとんどがセット次第でどうにかなるって思ってます。
ちなみに僕は、恥ずかしいので美容師に見せはしないものの、ちょっと髪が伸びたくらいの本田圭祐を頭の中ではイメージしてオーダーしてます。
ここからが重要なのですが、このとき僕は嫁を近くのコメダ珈琲で待たせて、自分のコーヒーも半分くらい残して席を立ち、1000円カットに行って戻ってきました。店員からしたら「トイレ長めだったわね、お腹の調子よくないのかな?」くらいだったと思います。
1000円カットは、そのくらい早いのです。
椅子に座ってから立つまで約15分です。
1000円カットを体験して一番驚いたのは、この早さです。
髪を切るということが全くイベント化してこないので、苦になりません。むしろ、行くたびに休日を有意義に過ごしたという得した気分になります。
1000円カットの一番の魅力は、「早さ」だったのです。
東京から京都に行くのに、深夜バスより新幹線のほうが値段が高いように、当たり前ですが、早さというのはれっきとしたサービスです。本来は早いものは高くないといけないのです。
牛丼は「早い・安い・うまい」と言われますが、実際はそこまでおいしくないことを考えると、 1000円カットこそが、正真正銘の「早い・安い・うまい」です。
ここからは、追い打ちをかけることになりますが、下の表を見てください。
1000円カットと一般的な美容院に10年間通い続けた時の差を計算しています。
10年間通い続けたとすると、
なんと、48万円・3.75日間 の差が生まれます。
つまり、家族3人で2泊3日のグアム旅行にいき、けっこう豪遊できます!!
これで、1000円カットに行かない理由はゼロなのですが、
先日、後輩に「どこで髪切ってるんですか?」って聞かれたとき、
「5000円の美容院だけど、2か月に1度は近所の1000円カットに行って、ちょっと整えてもらってる」という中途半端なウソを交えて、「正確には、指名してるから1300円だけどね」という見栄をはってしまいました。